【家庭で実践】怒りの連鎖を断ち切る方法【会社で実践】 | ボクの人生、預かり所。

怒りの連鎖を断ち切る方法(家庭・会社編)

怒りの連鎖を断ち切る方法 B群パーソナリティ障害
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 人は理不尽な理論や言動を受けると『怒り』を感じます。日常生活においては、精神的ダメージを与えようとする言動や違法行為などで周囲の人を苦しめる人々(主にNPD及びAPD、時々BPD:詳しくはこちらの記事参照)に出会うことがあります。

 パワーハラスメント(いじめ・嫌がらせ)の相談件数も右肩上がりの状況が続いています。令和元年には年間8万5千件を超える相談が寄せられました(引用:厚生労働省『明るい職場応援団』)

 この数字から、怒りをぶつけられる人は少なくとも毎年約8.5万人も生み出され、連鎖の中に巻き込まれます。最低でも10年間で85万人、20年間で170万人となる数字です。しかも、人口が減少していく中でも相談件数は増加の一途辿たどっています。

 ぶつける側の人は継続してぶつけますし、ぶつけられた側の人がぶつける側に回ってしまうこともあります。相談に上がってこないケースもあり、仕事以外でのケースもあると考えると、8.5万人の数倍の人が巻き込まれているものと考えられます。

 怒りの連鎖を止めていかなければ、巻き込まれたり苦しんだりする人は1000万人規模(人口の1割に迫る)にまで増加すると予測されます(筆者推計)。

 アメリカにおけるNPDの発生率は人口の6.25%です。シンプルに日本の人口約1億2555万人(引用:総務省統計局―2021年9月1日現在)で同じ発生率だとすると、日本では約784万人存在している計算になります。

 そういった人たちが生涯で2人に怒りをぶつけただけで1500万人を超えます。仮に発生率が半分だったとしても、3人に怒りをぶつければ1000万人を超えます。恐ろしい数字だと思いませんか。

 いつどこで出会ってもおかしくない数字です。嬉しいことではありませんが、巻き込まれる人が増えることで体験談やメカニズムなどの情報を共有できます。特別なことではないんだ、自分が悪いわけではないんだという認識が社会に浸透していくことで誰かの救いになれば、先人の苦しみも報われることでしょう。

 そういった連鎖を断ち切るために家庭や社会においてできることは何かを考えていきます。

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家庭内でできること

子育てにおいて

 健全な人格形成が行われれば、他者に対して不必要に怒りをぶつけたりすることは起きません。ですので、子どもに自尊心や自己肯定感などを著しく損なう体験をさせないようにすることが大切になります。

 難しいことはありません。子どもであっても、人として大切に関わっていけばいいのです。下記をご参考にしていただき、子どもの自尊心や自己肯定感を大事にしてあげてください

話を聞く・受け止める

 子どもが話掛けてきた時には、手を止めて、目を見て話を聞いてあげましょう。もちろん、危険などが伴う場面はのぞきます。ですが、そういった時でも理由を説明して、後で話を聞くことを伝え、必ず聞くようにしましょう。

 親の方からも積極的に話し掛け、コミュニケーションをとるようにします。子どもに関心を持っていることが伝わります。子どもの働きかけを相手にしなかったり、深く関わらないなど、コミュニケーションが極端に少ない状況は避けましょう。

 ゲーム機やタブレット、スマートフォンなどのデジタル機器を持たせて放っておくことは、コミュニケーション自体を減らしますので注意が必要です。

 コミュニケーションが多かったとしても、「駄目じゃない!」「早くしなさい!」「何やってるの!」など否定的な表現が多い場合は、「自分は駄目なんだ」と自尊心は低くなります。

 肯定的なコミュニケーションが多くなるようにしましょう。上記の例でも、「(失敗しても)次頑張ろう!」「時間を守れるとカッコいいね!」「〇〇してみたらどうかな?」などと肯定的な言葉を使うと、子どもの自尊心を損ないませんし、大人もイライラせずに済みますね。良い循環の中で生活する方が楽しいはずです。

愛情の損失体験をさせない

 妹や弟ができた時に起こりやすいのですが、それまで自分に注がれていた愛情が、下の子にうつってしまうことで上の子が損失体験をすることがあります。

 特に第1子の場合、今まで独り占めできていた両親の愛情が、突然妹や弟にうつってしまい、見放されたように感じることがあります。実際にうつった愛情の量もある程度関係ありますが、最終的には上の子が『失ったと感じた愛情の量』に比例して、損失体験の程度も強くなります

 損失体験の程度が強い程、健全な人格形成が行われませんので、将来的に冒頭で述べたような人になっていく可能性があります。

 予防するためには、事前に下の子ができることを伝えつつ、どちらの子も大切であることも併せて伝えます。そして、実際に下の子ができたら、継続してどちらも大切であるメッセージを伝えていきます。事あるごとに繰り返し伝え、言動もその通りであることが上の子の安心につながります

 個人差はありますが、10歳頃までに人間の人格が完成するといわれています。「生きている」という概念を認識できるようになるのもこの頃からです。

 上の子の人数に関わらず、上の子が10歳頃までは、前述のメッセージを伝えてあげましょう。もちろんそれを超えていても、そういうメッセージを伝え続けていけると理想的ですね。

 構造は単純ですが、日々の実践の積み重ねが子どもの健全な心を育みます。

 「お姉さんだから、お兄さんだから」と自立することを慌てて求めたり、強調し過ぎると『突き放された』ように感じる子もいます。本人が納得できていれば問題ありません。ですが、ひとりですることを渋る、親の助けを求めるなどの様子が見られた場合は、一緒にしたり見守ったりすることで、少しずつひとりでできるようにサポートしてあげてください。

虐待・暴言・暴力をしない

 これは当然のことですね。親側が怒りをぶつける人間であり、それを実行すれば世代間連鎖に該当します。思い当たる節のある方は、懸命に食い止めましょう。

家族が巻き込まれたら

 子どもから大人まで、誰でも巻き込まれる可能性があります子どもならいじめや嫌がらせなど、大人ならパワーハラスメントや嫌がらせなどにより、ストレスや怒りを受けます。

 家族の様子を気にかけ、変化や違和感を感じたら早めに対処をするなど、下記を参考にしていただき、大切な家族を守るようにしましょう

話すことで心身の安定を図る

 家庭において大切なのは、些細ささいな事でも話せる雰囲気や関係作りです。ダメージが少ないうちに家族間で直接話し合えることが理想です。また元気がなかったり、怒りっぽくなったり、普段と様子が違う時は、早めに気づいて声を掛けましょう。

 重要なのは、『早期に家族に話す(相談する)こと』『家族の話を丁寧に聞くこと』です。

 私の経験では、巻き込まれ始めの初期段階は、ストレスや怒りの感情が強く出ました。「〇〇っておかしい」「何であんな言い方なの?」など愚痴や不満(言動が変、理不尽であることに伴うストレス)が多くなります。

 状況が改善されない場合、ストレスや怒りが蓄積していき、中期には笑顔が減り、元気もなくなり、心身の症状が出始めます。精神や消化器などに症状がでることが多いですが、皮膚や神経など心身のあらゆる部分に症状が出る可能性があります過剰なストレスは心身をむしばんでいきます。早めに受診するようにしましょう。

 放っておくと、心身の不調が激しくなってしまいます。受診が必須となり、入院が必要なケースも出てきます。回復までの期間も長く(年単位に)なってしまいますので、早めに受診することが大切です。

 家庭が安心できる居場所であること。これがすべての基本になりますので、問題を共有できるような関係を普段から築いておきましょう。

状況を把握し行動する

 巻き込まれている状況に応じて、対応を考えます。受けているのが違法行為であり、それが証明できるのであれば、迷わず警察に届け出ましょう。しかし、ほとんどの場合は精神的な嫌がらせという理不尽な形で怒りをぶつけてきます。

 まずは巻き込まれた家族の話を聞き、事実を整理しましょう。そして、それをどのように感じているかを受け止めます。気のせいとか、もっと頑張れとか、気持ちを強くしなさいとか、気にし過ぎといった言葉は厳禁です。

 音声や画像などの具体的な物証があれば(なければ録音・録画などをしましょう)、周囲の理解も得られやすいので、あった方が良いです。個人の体験からもおすすめします。受けた行動の記録もしておきましょう。

 子どもの場合は、学校の先生に相談にします。自治体の教育に関する相談窓口を利用しても良いでしょう。大人の場合は、社内の相談窓口に相談したり、異動願を出したりすることで改善を目指します。状況によって労働基準監督署、労働相談窓口などの外部窓口を利用しても良いでしょう。

 学校や各種相談窓口などの第三者機関に相談する際には、物証(証拠)が大きな意味を持ちます。自分が実際にされたことの立証に必要だからです。受けた行動の記録や日記などより、動画や音声、画像などの方が重要視されます。ですので、自分の正当性を主張するためにも、実際に起きたことが直接分かる物証を用意しましょう。

 まずは社会的な枠組みや制度から改善できないかを検討しましょう。

環境が変わらないとき

 環境が変わらない場合、状況に応じて様々な選択をしなければなりません。

 子どもであれば不登校や別室登校、休学・退学、転校など、大人であれば休職・退職・転職などを考えなければなりません。

 人の心身に不調をきたすような怒りをぶつけてくる人が変化することはありません。半年や一年など怒りをぶつけてくる人と会わなくて済むようになるまでの期間がはっきりしている場合は、休学や休職などでしのぐことができるかもしれません。しかし、そうでない場合は退学や転校、退職(転職)も視野にいれなければなりません

 心身の状態によって、選択すべき行動を慎重に検討したいものです。状況によっては、医師公認心理師臨床心理士)などの専門家の見解も判断材料にして、行動を決定しましょう。

 何よりも大切なのは、心身の安定です。物理的な距離を置くことで改善する場合がほとんどですので、落ち着いて家族を守りましょう

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会社でできること

メカニズムを正しく理解する

 他者に怒りをぶつける人のメカニズムを正しく理解することが必要です。会社の重要なポジションの人(社長、理事長、施設長、人事部長などの管理職)において特に求められる知識です。

 現場の労働環境に影響を与える力を立場の人がそういった知識を持っているか否かで、現場の労働環境は決まります。

 そういう立場の人がメカニズムを理解していないケース、他者に怒りをぶつける人であるケースをいくつも見てきました。いずれも散々な目に遭いましたが、後者の方がダメージは大きかったです。

 平社員としては話(訴え)を聞いてもらえなければ、すべがありません。ですので、重要なことは話を聞くことです。話しに来た本人はもちろん、関係する人にも聞き取りをし、必要があれば状況を確認(映像、音声、実際に見るなど)します。そうすることで事実は何なのかを整理することが大切です。手間を掛け、あらゆる角度から検討し、改善につなげて欲しいのです。

社内で問題が発生したら

 前述した通り、正しい知識に基づいた事実確認をしてください。主観ではなく、客観的な事実を基本に判断をしましょう。

 会社で起こり得るケースとしては、第一に社内(関連するすべての会社を含む)の人同士で起きるハラスメント行為(パワーハラスメント、モラルハラスメント、セクシャルハラスメント)が考えられます。

 もうひとつのケースとして、近年問題になっているのが、社外の人(客、利用者など)から理不尽な要求などをされるハラスメント行為(カスタマーハラスメント)です。

 具体的な対応や対策については、厚生労働省のサイト「明るい職場応援団」をご覧ください。会社にそういったハラスメント行為を許さない意識があれば、状況の改善は可能です。状況が改善するか否かは、その一点に尽きます。

 社員を守る、労働環境を守るという意識を持って、公正な対応をしましょう。ハラスメント行為に関しては、必ず巻き込む側に問題があります。適切な対応を行う企業であれば、巻き込む側必ず指導の対象になるか、会社を去ります

 逆に巻き込まれた側が指導の対象になったり、会社を去ることになる企業はブラックといっても過言ではありません。この場合、経営者や管理職レベルの人が巻き込む側の人である場合がほとんどです。

 企業としてハラスメント行為に対応する意識がないというより、そもそもハラスメント行為であると見なしません。いくら「理不尽な行為」と訴えても「普通の行為ですが何か?」となります。

 巻き込む側と巻き込まれる側の視点が違うから仕方ないのですが、最終的には権力に物を言わせて「こちら(巻き込む側)が正しいんです。普通なんです。文句があるなら辞めてください」となります。もちろん一般常識でいえば巻き込まれる側の視点の方が正しいのは言うまでもありません。巻き込む側が正しいと言えば「正しい」となってしまう、そんな世界観(状況設定)です。

 企業においては、適切かつ公正な対応という形で、怒りの連鎖を断ち切っていきましょう。

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