【今からできる】人の能力を向上させる方法【良い循環】 | ボクの人生、預かり所。

人の能力を向上させるには

人の能力を向上させるには 心理関連
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 今回は、他者の能力を向上(変容)させるための方法について取り上げます。

 ここで言う「能力」とは、主に「学習」です。これは学校の勉強だけに限らず、何らかの知識や技術を『身に付けること』全般を指します。体験・経験することそのものも含まれます 。ですので、心理的な効果によって、知識や技術、意欲などがより向上することに焦点を当てます。

 今回は教育心理学の用語である『ピグマリオン効果』を取り上げます。

 良い循環が生まれると人生は豊かに、楽しくなります。同じ「やる」なら前向きに取り組めた方が、その効果もより大きく得られます。

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ピグマリオン効果とは

 教育心理学における心理的行動の1つで、教師の期待によって学習者の成績が向上することである。教師期待効果、ローゼンタール効果などとも呼ばれている。

 教師が期待しないことによって学習者の成績が下がることはゴーレム効果と呼ばれる。

「ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典」ー『ピグマリオン効果』

 人から期待されると能力は向上し、期待されなければ低下するということですね。

 ものすごくシンプルなのですが、ものすごく意味があることなのです。

 勉強やスポーツ、芸術・文化、専門的知識・技術などありとあらゆる分野で活用ができます。

 期待をする側として想定できるのは、教師や監督、コーチをはじめとした指導者、上司、師匠、先輩などです。他にも家族、恋人、友達、ファンなど期待を寄せてくれる人すべてが含まれます。

 もっと根本的なことを言えば、親子関係でも利用できます。子どもに期待した方が子どもは伸びます

 新時代のスタンダードは「褒めて伸ばす」です。否定的な言葉、やる気を削ぐような言葉、自信を失わせる言葉などは、伸ばすどころか可能性を奪ってしまいます。

 それでは、どのように期待していることを伝えたら良いのでしょうか。

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期待の仕方

 期待していることを相手に伝える方法は、大きく分けて2つあります。

①言語で伝える(文字も含む)

 直接の言葉や文字で伝える方法です。

 例:「頑張れ!」「応援しているよ」「期待しているよ」「〇〇(あなた)ならできる」「やればできるよ」「いつも頑張ってるね」「信じてるよ」「自信を持ってやってごらん」「今度はできるよ」「○○までできたね」など

 このような言葉をかけられると嬉しいですし、やってみよう頑張ろうと思えますね。とにかく肯定的であることです。失敗しても肯定的に捉えます

 期待した程でなくても、わずかな成長や意欲を感じたら褒めましょう。褒める(できたこと・やろうとしたことを認める)ことは、言われた側からすれば自分を認めてくれていると感じます。それが期待してくれているという感覚につながっていきます。

②非言語で伝える

 言葉を使わずに、態度や動作、行動などで伝える方法です。

 例:『笑顔や優しい雰囲気、落ち着いた雰囲気』『穏やかな言い方をする』『温かい、優しい眼差しを向ける』『話をうなずきながら聞く』『言っていることを受け止める』『背中や肩をポンと叩く』『OK!やGOOD!などのジェスチャーをする』『グータッチや握手をする』など

※「言語で伝える」時の雰囲気や態度も含まれます

 視覚や感覚的に感じる部分ですが、表情や雰囲気、動作などでも期待していることを伝えられます。特に言語で伝える時の非言語の部分は重要です。その最たるものが『言い方』です。責めるような言い方は厳禁ですが、嫌味が混ざっていたり、トゲがある言い方をしたりするのも『期待』は伝わりませんし、“自分はダメなんだ”などといった悪い後味しか残りません。

 もし我慢ができなかったり、口が滑ったりして否定的な言い方になってしまってもあきらめないでください。最後に肯定的な言葉で終われば、後味の印象は変えられます。最後は褒めて(期待の言葉で)終わってください。

 (もちろん『期待100%』であるのが何よりなのは言うまでもありません。)

 ジェスチャーや身体的接触で伝えることもできます。これは関係性にもよりますので、状況によりけりです。特に身体的な接触については、強制をせず本人の意思を尊重しましょう。喜んでいれば問題ありませんが、笑顔であっても躊躇ちゅうちょしたり嫌がったりする様子が見られた場合には選択肢から外すようにしましょう。

 非言語的な部分も、気持ちのやりとりがスムーズにいけば言語と同様に「自分を認めてくれた」と感じ、それが『期待』してくれているという感覚につながります

注意点

 これまで説明してきた『ピグマリオン効果』が有効にかつ最大限に機能するためには、ひとつだけ条件があります。それは―

 「何らかの知識や技術を『身に付けること』 に対して、本人にその意思があること

  ―です。やる気も意欲もなければ、学ぶ姿勢もないような場合には、上手く機能しません。

 何かを向上させたいという気持ちは必要です。「辛いけど、大変だけど、好きでもないけど、やらないといけないからやる」、「仕方ないけどやってみる」、「しょうがないなぁ」程度の気持ちは最低限必要です。

 裏を返せば、「面倒臭い」「何でやらなきゃいけない」「必要ない」「やるだけ無駄」「やりたくない」「時間の無駄」など取り組むこと自体に否定的な気持ちの人に対しては、ほとんど機能しません

 本人が納得できていないような場合は、上手く機能しないことが往々にしてあります。だからといって、やる気がないからと切り捨てることはしてはいけません。本人の気持ちを聞いたり、それを身に付けることの意味や必要性を説明したり、意欲が持てるようなアプローチは当然した方が良いです。

 経験則では、そのようなアプローチを繰り返すと、9割以上の人が「しょうがないなぁ」以上の気持ちになってくれます。中には意思の強い人や頑固な人がいて、自分の考えを曲げないという方もいらっしゃいます。

 そういう場合は強制できませんし、仕事などの必要性や緊急性がある場合を除いては、あきらめるほかありません。※個人の考えです

 意欲がないことの弊害へいがいは、関係が築けないことにあります。いくら興味のないことを長々話されても、そもそも時間の無駄だと感じていますし、興味のないことを話す人自体にも興味が持てません。相手の感情にすら興味がないのです。

 すべてが無意味に感じてしまいますし、すべてがストレスになります。

 拒否反応が強いケースでは、『ピグマリオン効果』は意味を成しません。

上手な付き合い方

 『ピグマリオン効果』は、その人にとって重要な意味を持つ他者から与えられる『期待』により能力に変容をもたらします。

 ですので、『身に付けること』 に対して「意思」が必要なのです。やりたいこと、興味のあることである必要がありますし、やる意味や必要性に納得できている必要があるのです。

 人は好きなことには意欲的に取り組むので良いのですが、問題になるのはそうでない場合です。嫌だけど、やらなければいけないこと。大人なら仕事や生活関連、子どもなら学校関連などが考えられます。

 なぜそれをするのか、その意味を伝えることが周囲の人に求められます。「〇〇ができるようになる」、「○○の役に立つ」、「人生を豊かにする」、「努力する過程で成長する」など。理由は何でもいいのです。「しょうがないなぁ」を越えさえすれば

 嫌なこと、面倒臭いことから逃げてばかりいては成長しません。逃げぐせ思考がついてしまいます。やらなくても良いことはやらなくて構いませんが、やらないといけないことからは逃げないようにしましょう

 「これは役に立つけど、これは無意味だからやらなくていい」などと決め付けてしまうことは、人生の可能性をせばめてしまいますせまい価値観でいると、人生の幅も狭くなります。何がどこでどう役に立つかなど誰にも分かりません自分を良くしたり、自分のためにすることには手を抜かないことです。

 嫌だけど、やらなければいけないことにおいて何より重要なのは、「きっとどこかで何かの役に立つ」という思考です。嫌々やるよりも、精神衛生上はるかに良いです。同じやるなら、肯定的な思考でとらえた方が人生においてプラスになることは、容易よういに想像できます。

 嫌々やったり、逃げ腰でやるより、肯定的な思考と最低限の意欲を持って、物事に取り組んだ方が良い結果を得られます。

体験談

 私が中学2年生の時の体験をご紹介します。

 当時の国語の先生が優しくて、授業中や休み時間などに声をかけてくれることがたくさんありました。「頑張って書いたね」「小テスト頑張ってるね」「(書き取りの宿題の)字が丁寧で良かったよ」「(私の書く)文章が楽しくていいね」「家でどんな風に勉強してる?」など、勉強の話はもちろん趣味や学校生活、家での過ごし方など色んな話題で声をかけてくれました。

 当時の私は、自分に興味を持ってくれることが嬉しくて、ニコニコしながら素直に答えていた記憶があります。推測ですが、どちらかというと勉強ができない子だったので、気にかけてくれていたのかなと思います。

 そんな先生に良い印象を抱き、ある種憧れにも似た感情を持つようになりました。それが『期待』によって生じたものだと、振り返って思います。

 「頑張ろう」と明確に思ったことを覚えています。それまで3~50点台(100点満点)だったテストの点数が、8~90点台に大きく伸びました。先生も喜んでくれて、ものすごく褒めてくれました。それがまた次のやる気につながるという、良い循環が生まれていました。とても充実した1年間でした。

 先生は代わってしまいましたが、3年生では98点(1ミス)を取るなど満点こそ取れませんでしたが、常に90点台を取れるまで能力が伸びました。

 そうすると面白いもので、国語同様3~50点台だった他の教科も点数が上がっていき、国語ほどではありませんが、常に80点台以上を取れるようになっていました。

 『ピグマリオン効果』がとても上手く機能した例です。当時の私も素直だったので、効果がより大きく出たのだと思います。反抗したり、疑ったり、悪い方に決め付けたりしていたら結果も違ったはずです。相性も関係してはきますが、『普通』以上は必要です。嫌いな人の言うことは素直に聞けないことが多いです。

 このように、効果を生むにはどうしても「意思」が必要です。これが指導(能力を伸ばす)側の課題でもあります。いかに興味を持たせるか、すなわち「最低限の意思」をいだかせるか

 そのためには色々なアプローチがあります。肯定的な言葉をかけ続けること、期待し続けること、信じ続けること、指導側があきらめないこと。そういった粘り強さも必要になってくる場面もあります。

 「情けは人のためならず」

 人の幸せを願って心を砕くことで、良い循環が生まれ、双方の人生が豊かになるのです。

 当時の先生には、今でも感謝しています。その思いから私は、子どもに関わる仕事を選んできましたし、温かい言葉をかけ続けています。

 その方が子どもに良い変化が起こることが多いと経験上感じています。もちろんすべての子どもに変化が生じる訳ではありませんが、体感としては9割程度の子に効果がありました。

 私はその時に考える、出来る最善を尽くすようにしています。例え効果がなかったとしても、後悔することはないからです。全力でやって駄目なら、力不足と諦めがつきます。

 一人でも多くの子どもに良い変化があればいいなと思いながら、完璧が存在しないことも念頭に置きつつ、その時の最善を尽くす。それが私の基本的なスタンスです。

最後に

 何らかの知識や技術を『身に付けること』を通して、相手の能力(知識や技術など)を向上させる立場のみなさんには、ぜひ活用していただきたいです。

 自分は嫌なことから逃げてしまうことが多いなとお感じになるみなさんにも活用していただきたいです。自分の思考の癖を客観的に捉えることは、変わるための一歩です。

 いずれにしても「やる意思」が最も重要です。自分で意欲を持つ努力、相手に意欲を持ってもらう努力。双方が合わされば、最低限「しょうがないなぁ、やるか」と思えるはずです。

 やらない理由より、やる理由を探しましょう。

 やりたいことはとことん取り組み、やりたくないけどやらないといけないことは「やる理由」を探すように、意識して思考のくせを変えていきましょう。

 そうすると人の話も素直に受け取ることができるので、良い循環が生まれ、生活が豊かに、そして楽しくなります。能力も向上することができます。

 みなさんもそれぞれの立場で、できることを実践してみてくださいね。

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