毎年、厚生労働省と警視庁から「自殺者数」が発表されています。この分析から、日本の状況と心理的背景ついて、自殺と命について考えたいと思います。
考察が中心となりますが、みなさんにもお考えいただけましたら幸いです。
自殺者数の実際
令和2年(2020年)の自殺者数は、21,081人(男性:14,055人・女性:7,026人)です。
【参考:過去の自殺者数(抜粋)】
平成21年(2009):32,845人
(男性:23,472人・女性:9,373人)
平成15年(2003):34,427人
(男性:24,963人・女性:9,464人)最多
平成10年(1998):32,863人
(男性:23,013人・女性:9,850人)
平成09年(1997):24,391人
(男性:16,416人・女性:7,975人)
昭和53年(1978):20,788人
(男性:12,859人・女性:7,929人)警視庁最古
昭和元年(1926) :12,484人
(男性:7,675人・女性:4,805人)
大正元年(1912) :09,475人
(男性:5,955人・女性:3,520人)
明治32年(1899):05,932人
(男性:3,699人・女性:2,233人)厚労省最古
※元データ不備のため、総数と男女合計が一致しない年がある
【引用】『自殺対策に関する参考統計資料/厚生労働省』、
『令和2年中における自殺の状況/厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課(令和3年3月16日)』
明治から大正、昭和、平成と自殺者数は増え続け、平成15年にピークを迎えてからは減少を続け、令和2年にわずかに増加しました。
日本の人口は平成16年(2004年)の1億2784万人をピークに減少を続けていますから、人口の増減にある程度の影響を受けていることが分かります。
明治32年(1899年)の日本人の平均寿命は男女差はほとんどなく、44~45歳くらいでした。現代より半分近く短い状況でした。大正時代までの平均寿命が低い理由には、乳幼児の死亡率が高かった背景があります。
令和2年の45歳以下の自殺者数が7,692人(概算)で、当時は5,932人でした。平均寿命との関係はあるのでしょうか。
令和2年の45歳以下が約5634万人ですから人口比率は約0.013%、明治32年の人口は約4,300万人でしたから、人口比率は約0.013%。
平均寿命との関連はないことが分かりました。時代を問わず一定数起こるものであるという可能性が示されました。
昭和に入っても平均寿命は44~46歳と男女差はあまりありません。ですが自殺者数は約2倍になっています。40代半ば以下の自殺者が今よりも多いことが分かります。
昭和元年(1926年)人口は約6,000万人のうち、12,484人でした。人口比率は約0.020%ですから、令和2年より若干割合が多くなりました。
この時代の自殺の理由は、「貧困」や「飢饉」などが挙げられます。調べると「身売り(自分の子ども、特に女子を売る)」というキーワードも散見されます。病死や事故死を除くとすると、こういった時代背景が増加原因となっていることが考えられます。
戦後数年で平均寿命は男女とも60歳を超え、昭和42年(1967年)には人口が1億人を突破し、平均寿命も70歳に迫ります。人口の増加とともに自殺者数も増え続けます。
昭和53年(1978年)の人口が1億1,500万人に対し自殺者数が20,788人ですから、令和2年(人口1億2427万・自殺者数21,081人)とほぼ同じ水準と考えられます。
人口比率はそれぞれ、約0.018%、約0.017%とほぼ同じです。
平成に入り、平成9年(1997年)から平成10年(1998年)にかけて、さらに平成15年(2003年)にかけて自殺者数が著しく増加し、過去最多となった背景には、バブル崩壊や金融危機などいわゆる「平成不況」があると考えられます。
2003年は人口1億2,769万人のうち、34,427人でした。人口比率も約0.027%と過去最多となりました。
経済的な絶望や苦しみから派生する絶望や苦しみ。負の連鎖やその持続というものは、心に深刻なダメージを与えるのだと思います。
その後、平成22年(2010年)頃から自殺者数は10年近く減り続け、令和元年まで続きます。令和2年に再び増加をします。新型コロナウイルスが流行が背景としてあります。初期の頃は偏見や差別が激しかったですから、自殺に至ったとしてもおかしくはありません。
2020年は人口1億2,622万人のうち、21,081人でした。人口比率は約0.017%です。
人口比率の変化を通して言えるのは、いつの時代も一定数(約0.013~0.018%)自殺者数が存在しており、「貧困」や「不況」、「感染症」などの社会的な問題が起こるとさらに増えるという構図があるということです。
0.020%という数字は、1万人中『2人』が自ら命を絶つということを意味します。これを少ないとするか多いとするかは、みなさんの価値観にお任せします。
2019年の平均寿命は、男性81.41歳、女性87.45歳です。これは2019年に生まれた子たちが生きられる期間の平均値です。
平和な世界が続くことで、子どもたちがこの寿命を全うできることを心の底から願います。
それでも生きて欲しい
自殺することが正しいのか間違いなのか私には分かりません。できることなら生きて欲しいし、命を大切にして欲しい、死んではいけないよ、話はいつでも聴くよ。というようなことを子どもたちに伝えてきました。
ありとあらゆる手を使って生きたいと願うのなら、何らかの手段や方法が必ずあります。あきらめないこと、それを感じてもらえるような支援を心がけています。幸いにも身近での喪失体験はありませんが、間違いなくどこかで起きているのも事実です。
信じられる人、心を開ける人が近くにいるだけで救われることもあります。でも、個人の抱える心の闇や重さには程度の差があります。状態によっては公的機関や医療機関などの利用の検討も必要です。
辛ければとにかく人を頼ること、相談すること、辛い状況から逃げるなど身を守る行動をとれるよう周囲の人たちに伝えていくこと。みなさんもご自身の大切な人の心の健康を守れるよう、今一度真剣に考えてみてください。
生きることとは
自殺を考えるというその思考自体は、「生きている」という人間の存在を考えれば、決して否定されるべきものではないと思います。私は何回もあります(詳しくは他の記事で)。
物心ついたら抱えていた絶望や苦しみや負の連鎖などは逃れられないですからね。人生の途中で負う傷もありますから、両方抱えると耐え難い苦痛ですね。分かります。
色々な辛い経験をしてきましたが、私自身について今思うことは、今やりたいことを精一杯やって、そして最後まで生きて果てたい!です。
生まれたことに後悔していても仕方がないですからね。懸命にハッスルしてみましょう。
死にたいな……って思う時点ですでに辛いのですよね……。
でも…よかったら、もうちょっとだけ生きてみませんか?
物や人、いろいろなものにもたれかかりながら……。
生きることそのものに意味はないのかもしれません。ですが、そこに意味を与えていくことが生きるということなのでしょう。
※10代の自殺者数についてはこちらの記事をご覧ください。
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