放デイにおける労働環境とは【職場の人的環境】 | ボクの人生、預かり所。

放デイにおける労働環境とは

放デイにおける労働環境とは 放課後等デイサービス
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 仕事は労働環境がすべてだというのが個人的な意見です。労働環境は物理的環境と人的環境に大別できます。一見難しそうな話ですが、実はそうではなくて、ものすごく単純なお話です。

 放デイでの実体験に基づき、「職場における労働環境」について考えます。

 ご紹介する例は、あくまで私の勤務した事業所の話であり、ひとつの例であることを予めご了承ください。

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労働環境とは

 先に労働環境は「物理的環境」と「人的環境」に大別できると述べました。

「物理的環境」…仕事内容に関係するもの(業務内容、労働時間、制服・着衣、就業規則、使用する機械・道具、その他仕事内容に直接関係のあるもの)

「人的環境」…仕事に関わる人(上司・同僚・後輩、取引先、事務、客、利用者、保護者、地域住民、配送業者、その他仕事に関わる人)

 ※この分類は、個人的なものです。

 仕事をするにあたって、「物理的環境」は求人票やサイトなどで確認し、大まかなイメージを持って選択することができます。やってみてイメージが違うこともありますが(汗)。

 一方、「人的環境」は入社するまで分かりません。事前に見学することができたとしても、普段の姿100%を見ることは難しいですね。

 それはなぜかと言えば、良く見せようと演技したり裏表のある人がいるからです。特に注意が必要なのが、B群パーソナリティ障害(予備軍を含む)の傾向がある人です。

 そういう人はとにかく外面そとづらが良く、良い顔と悪い顔の二面性を持っています。組織の中で問題を起こす(人を攻撃する、振り回す)タイプなら認知される分ましですが、1対1の場面で問題を起こす(〃)タイプが最も厄介ですし、面倒臭いですし、腹が立ちます。

 ですので、この記事では放デイの事例を挙げますが、どこの職場でも起こり得る問題として「人的環境」の中でも一緒に仕事をする社内の人間について焦点を当てます。

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とある事業所の例

 話の主人公は、2年目の50代女性です。私が1年目でした。

 言動から分析するに、B群パーソナリティ障害の中でも、自己愛性パーソナリティ障害、演技性パーソナリティ障害、境界性パーソナリティ障害(ここでは障害の有無は議論しません)の傾向があると感じる人でした。

 個人的には、自己愛5:演技性3:境界性2程度の傾向が複合していた印象です。もしかしたら他の傾向を持っているかもしれませんが、ここでは触れません。

 入社直後から、とにかく問題を起こす人であるとは聞いていました。仕事の手順や進め方などが自分の思ったものでないと、いちいち首をつっこんで指摘します。お茶の入れ方とか掃除・洗濯の仕方とか教えてくれるのかと思いきや、「それでいいの?」「そうやってやれって言われた?」「正しいと思います?」とか何を言いたいのか分からないのです。手順がおかしいと思うなら会議で提案してください。手が止まることで仕事がまりますし、ストレスも溜まります。

 そういうものに「いいと思います」「正しいと思います」と答えても、「言われたわけではないですが、間違ってます?」と答えても、取り合わなくても、「あの人はあんな間違ったやり方をしていた」と管理職に報告するのです。大げさな演技がかった言い方で言うそうです。聞けば事実でないこと(妄想?ねつ造?)まことしやかに報告するのです。

 そういうことが毎日続き、延々と繰り返されます。職場の人に手当たり次第絡んでいくのです。周囲もストレスフルで全員が「一緒に仕事をしたくない」と意見が一致するほどでした。

 数か月経った頃、手当たり次第に絡んでいるのではなく、ある法則があることに気付きました。全員に絡んでいくのは事実ですが、ターゲットを決め、その人を中心に絡んで(攻撃して)いたのです。

 約1ヶ月周期でターゲットを変えているようで、いつか自分にも来ることは予想できました。ターゲットになっている間が最もストレス負荷がかかるので、その期間をいかに乗り切るか、関わり合わないかをみな考えており、仕事の能率もチームワークもかなり底をついていました。

 やがて誰も取り合わなくなると、「無視された」だの「言うことを聞いてくれない」だの「全員が私を貶めようとしている」だのわーわー騒ぎ立てて、被害者ぶりを熱演しつつ、事実とそうでないことを管理職へ報告しに行きます。

 特殊すぎて、すべては書けませんし、具体的にも書けませんので、少し異常性が伝わりにくいですが、周囲が全員「一緒に仕事ができない(したくない)」と思うレベルです。個人の細かい部分だけに留まらず、事業所の運営・方針にまでダメ出ししたり、食ってかかるような人で、自分の気に入るようにすることに執着していました。

 管理職は管理職で、一人の報告を鵜呑みにしてしまうというしょうもなさ。普通、双方への聞き取りは最低限すると思います。何もせず、現場の評価が落ちる始末です。

 さすがにこのままでは現場(他の職員全員)が悪者になるので、相談の末、全員で管理職に相談(事実を伝える)しました。実際に起きたこと、周囲が困っており労働環境が著しく損なわれていること、何らかの対応をしてもらいたいことなどを伝えました。

 管理職から返ってきた言葉は、

 「悪口を言う人はこの職場に要りません」でした。

 (゚Д゚)ハァ?(多用ご容赦・笑)

 労働環境(人的環境)の改善提案です。どこをどうとったら悪口になるのか分かりません。現場が一人の人間に振り回されて困っているのです。

 話を聞こうとか、受け止めようとか、理解しようとか、話し合おうとかそういった考えは持ち合わせていないようです。

 一人を除いて全員が悪口を言っているのであれば、全員解雇すればいいのに。とは思いました。管理職は、全員で一人をいじめている、排除しようとしている、そんな風に捉えているように感じられました。

 「人の良い部分を見なさい」

 と言われましても、それは最低限の人対人という人間関係が築ける場合に限ります。世間一般に言う「常識」(これが正しいのか分かりませんが)では、対等な人間関係はとても築けません。

 そもそも管理職自体が、現場の職員に対して「悪口を言っている」と人の悪い部分しか見ていませんけどね。

 そういう訳で交渉は決裂し、労働環境には何の変化もありませんでした。

ターゲット開始

 そして、しばらくして私にターゲットが回ってきました。ついにきたかという気持ちでした。

 分かっていても、ターゲットとそうでない場合のストレス差は尋常ではありません。ストレス負荷が一気に跳ね上がります。執着してまとわりつくような感じが非常に不快でした。

 ごく一部となりますが、具体的な言動をご紹介します。

①仕事の内容や順番を指示する

 最終的に全部やるので、どれから片付けても何の影響も出ない業務内容に対して指示をします。「それ今やらなくていいから、こっちやって」

 やらなくていいことないだろうとは思いますが、順番に対するこだわりは強かったですね。別にどれからやっても問題はないので従いました。流すと管理職に騒ぎ立てるので、みんな言う通りにしてしまうのですが、今思えばそれが助長させていたという気もします。

 それでも騒ぎを起こすと面倒臭いですし、流すよりもストレスを受けますから、ふわっと距離を取る以外の選択肢は難しい状況でした。労働環境が改善されないのですから、どうしようもありません。

②ミスをしたときに追い詰めてくる

 「報連相って知ってる?」「勝手に一人でやっていいって言われた?」「何で確認しなかった?」

 言ってることは間違ってないのですが、ミスした状況や流れってあるじゃないですか。それらを全て無視してすごんでくるものですから、ミスを指摘することだけが目的になっているので困るのです。

 もちろん報連相は知ってます。来客対応に関するミスでしたが、私と上司で対応予定のところ、上司が社外に出ており(時間が決まってるのにこれも問題)、確認せずに一人で対応したことについてお怒りなのです。

 後で上司に報告したところ、一人で対応したことは「臨機応変で何の問題ないよ」ということでした。上司も出る際に、戻らなかったら一人で対応しといてと一言くれれば、嫌な思いをせずに済んだのにという思いはあります。

 何の問題もなかったと分かった途端、この件については全く触れなくなりました。攻撃のチャンスがなくなってしまったのでしょう。分かりやすいですね。

③上から目線で一言多い

 この人が「できない」「やりたくない」と言った業務が全部私に回ってくる状況で、それに追われることが多く、他の業務について他の人にお願いする(やりたいが時間がなく手が回らない)ことがありました。

 その業務について、「(その業務を)できるようにならないと。本当は今できなきゃいけないんだけど」と発言するのです。

 物理的に手が回っていないのに、その能力がないと言うものですから、感覚が理解できません。あなたが手が空いていることが多いので、あなたに多く振られているだけの話です。代わってもらえるなら、普通にやりますけどね。

 自分ができることで優位に立ちたいのでしょう。本当にできる人は、自分ができるアピールはしないですよね。

④子どもがいても発動する(1)

 子どもがおやつをもらいに行く時の話です。握力に不安がある男の子だったので、私が付き添ってもらいに行きました。列に並んで順番にもらっていきます。

 順番が近づいてくると「おいしそうだね」と楽しみな様子が伝わってきます。その子の番になり、両手で受け取ると若干手が震えていたので、「頑張って持とうね」と手を添えながら伝えていると、言い終わる前、「うね」くらいで「早く行ってもらっていい?」と冷淡に言うのです。2秒くらい待ちなさいよと思いましたが、「ちゃんと持ててるねー」などと何事もなかったかのように戻りました。

 子どもたちに聞こえるところで言ってしまう、すなわち子どもへの影響を考えることができない人は対人支援に向いていません。

 私に対して言ったのでしょうけど、席に戻った子が「僕がちゃんと持てないから早く行けなかったね……」と落ち込んでしまいました。「大丈夫、ちゃんと持ててたよ。おやつの時間が決まってるから、少し急いでいたんじゃないかな。食べるの楽しみだね」とフォローすると笑顔にはなってくれましたが、本来必要のないフォローです。

 子どもを巻き込むのだけは、どうしても許すことができませんでした。

⑤子どもがいても発動する(2)

 じっと座っていることが難しい男の子がいて、その人が「座りなさい」などと言って無理矢理座らせているのですが、我慢できずに立ち歩いてしまいます。

 多動な子には、座ることができたら褒め、どうしても我慢できなければ少し歩いて落ち着いてから、また座れたら褒めることを繰り返して支援するという方針でやっていました。ですから、また自分のやり方(長時間座らせること)にこだわってるなと思って見ていました。

 2、3回目くらいで、その職員を押し退けて無理矢理立ち上がる様子だったので、「ヤバそうだな」と思いました(その職員に関わることが面倒臭いので他職員全員がスルーしています)。そう思っていると、他の作業の指示が出たので、私は子ども数人を連れて部屋を出ました。

 10分近くしてから戻ってくると、無理に座らされていた子が怒って大暴れをしたようで、例の職員ともう一人が体を押さえて落ち着かせているところでした。かなり大人しくなっている様子でした。ほぼ落ち着いていた(対応の終盤に見えた)ので、私は特に対応しませんでした。

 これが事実です。すると翌日、この件について、お得意の管理職への報告をするのです。伝え聞いた話によると、「(私が)その場にいたのに暴れた子への対応を全くしなかった(どういうつもりなのか)」「(男の子への対応なのに)何で対応を代わると言ってこないのか(おかしいじゃないか)」という内容だったそうです。

 前者は、そもそもその場所にいなかったのですから無理な話です。記憶が改ざんされています。これは同僚が「もともとその場にいなかった」ことを証言してくれて証明されました。事実と異なる話を報告して騒ぎ立てるので、たちが悪いのです。

 後者はその場にいた前提な気もしますが、ほぼ落ち着いた状態で「代わりましょうか」とは思いません。特に関わりたくないと思っている人であればなおさらです。積極的に面倒事に関わっていく気もありません。これは他の職員全員の思いです。私が戻ってきてから、1、2分もしないうちに対応終わってましたけどね。

 自分が上なので、「何で代わるって言ってこないの」という発想なんでしょうけど、自分が「ちょっと代わってもらっていい?」と言う選択肢もあること自体ごっそり抜け落ちているところが、この人の根本的な問題です。私に対して気が利かないと思うのなら、言葉で伝えれば済むことです。一方的に責め立てるのは違います。

 自分の思うように動かない相手を責めたり攻撃したりするのは、自己愛性パーソナリティ障害の傾向者(予備軍を含む)によく見られる認知・行動の特徴です。

 本当に氷山の一角ですが、このようなことが文字通り毎日繰り返されました。

 私に限らず、関わること自体がストレスになるので、関わりを避けることで新たなミスが生まれ、ストレスの輪が広がっていくという悪循環です。それも分かっているのですが、労働環境が守られない以上、どうすることもできません。もちろん本人と話し合うことができない(激高する、騒ぐ、虚偽の報告をするなどする)のは言うまでもありません。

 労働環境と本人のどちらからのアプローチもできない状況は、拷問に近いですし、チームとしても組織としても破綻しているように感じました。

 ターゲットは1か月くらいで変わるというルーティーンでしたが、私の場合は2ヶ月経っても変わる気配がありませんでした。

その後

 1か月の予定でいましたので、倍以上の期間は想定していませんでした。さすがにストレスできつくなってきたので、他の職員数名とともに管理職のトップに相談します。最終手段です。

 事実を話し、困っていること、対応して欲しいことを伝えました。返ってきたのは……

 「そういう人はどこにでもいるからねぇ」

 (゚Д゚)ハァ?(これは使わずにいられますまい・笑)

 ある意味あきらめがついた瞬間でもあります。

 「労働環境を整える義務を果たしません」ということですからね。

 そんな事業所ですから、まさに

 やりたい放デイ(爆)。

 異常なストレスの中で仕事を続けていく気にはなりませんでした。

 ベースがストレスフルな環境の中で、業務(分掌含む)がパンパンなものですから、終わるものも終わらなくなります(「放デイにおける分掌の実例と検証放デイにおける分掌の破綻と管理職からの無理難題 」の記事を見てくださいね)。

最後に

 どんな職場においても、「労働環境」特に「人的環境」が最も大事であると思います。

 仕事自体が楽しくてもそうでなくても、「人的環境」が良ければ長く続けることができる可能性が高いです。しかし、仕事が楽しくても「人的環境」が最悪であれば、長く続けることは難しくなります。

 労働契約法第5条に、「安全配慮義務」の記載があり、労働者の生命、身体の安全の確保がうたわれています。ですので、心身の健康が保たれるような労働環境を維持する義務があるのです。

 もし管理職や職場の相談窓口などで、問題が解決しない場合は、自治体の労働相談、労働基準監督署、法テラスなど公的な機関へご相談ください。

 動画、音声、画像、通話やメール・SNSなどの記録、日記・時系列の記録、その他物的証拠などの中から、困っていることを客観的に証明する証拠を選択し、揃えるようにましょう。

 経験上、証拠が全くないよりも、ひとつでもあった方が、後の行動の選択肢が格段に増えますし、スムーズな対応が得られる可能性が高まります。

 自分の心身の健康を守るためですので、集められる証拠は遠慮・躊躇ちゅうちょすることなく集めましょう。悪いことをしているわけではないのですから。

 個人的な話し合いや職場内の話し合いで解決できるのが一番です。職場に解決の意思がない場合が最も大変です。そんな時、この記事が何かのお役に立つことがあれば幸いです。

 みなさんが「労働者や労働環境を大切に考えてくれる職場」に巡り合えますことを心よりお祈り申し上げます。

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