【10代を生きる】『命』の重み会議 | ボクの人生、預かり所。

『命』の重み会議 ―10代のあなたへ―

命の重みを考えます 教育問題
この記事は約7分で読めます。
スポンサーリンク

 毎年、厚生労働省と警視庁から「自殺者数」が発表されています。この記事では、10代(10歳未満も含む。以下同じ)における自殺の分析から、10代を取り巻く環境と心理的背景ついて考えます。

 考察が中心となりますが、みなさんにもお考えいただけましたら幸いです。

スポンサーリンク

10代の自殺者数の実際

 令和2年(2020年)、日本における自殺者数は、21,081人男性:14,055人女性:7,026人)です。

 そのうち、10代の自殺者数は、777人(10~19歳:777・10歳未満:0人)です。全自殺者数に占める10代の割合は、約3.68%です。

 10代の自殺者数を校種別に見てみると、小学生14人、中学生136人、高校生329人の計479人です。

 10歳未満の自殺者は0ですから、全員が高学年(小学4年生の誕生日以降から卒業まで)ということになります。参考までに、令和2年(2020年)の直近10年における10歳未満の自殺者数は9人です。

 10代の自殺者のうち約61.6%が小学4年生~高校3年生の間に行動に移していることになります。

 自殺者数は年々減少傾向ですが、10代と小中高生の両区分において平成29年(2017年)から4年連続で増加し続けています。

 少子化傾向でありながら、自殺者数はそれに逆行して増えています。子どもたちを取り巻く環境(家庭、学校、社会)に何が起きているのでしょうか。

【引用】『自殺対策に関する参考統計資料/厚生労働省』、 『自殺の統計:地域における自殺の基礎資料/厚生労働省』、

『令和2年中における自殺の状況/厚生労働省自殺対策推進室・警察庁生活安全局生活安全企画課(令和3年3月16日)』

 10~19歳の人口が約1144万4000人ですから、このうちの約0.007%が自ら命を絶っていることになります。

【引用】『人口推計(平成30年2月報)/総務省統計局』

 この数字をどう受け取りましたか。自殺する子どもは特別だと思いますか。

 確率的には約0.007%ですが、宝くじ1等の当選確率が0.00001%といわれていますから、これと比較すると約700倍になります。

スポンサーリンク

なぜ自殺してしまうのか

 一般的には、自殺には「遺伝」と「環境」のいずれかまた両方の因子が影響し合っていると考えられています。

 10代の危険因子として考えられるのがいじめ、虐待、親の養育態度(威圧的、攻撃的、激しい叱責など)といったものです。

 これらは親やいじめる側が自己愛性または反社会性パーソナリティ障害であったり、その予備軍であったりすることにより、子どもの心に計り知れないダメージを与えるパターンです。これにより被害側の子ども自身が精神に異常をきたし自殺に至る可能性が考えられます。

 他には学力不振だったり、試験に落ちたり、恋人と上手くいかなかったり、職場のストレス(パワハラ・モラハラ・セクハラなど)があったりすることが考えられます。あとは少数ですが、薬物の影響によるものも考えられます。

 環境要因としては、ストレスや心理的な衝撃(肉体的な攻撃や嫌がらせなどから生じる心理的ダメージを含む)などが中心になってくると思います。

 一方、遺伝要因としては、明確な答えをもった論文はないようです(一卵性双生児のデータでは遺伝の可能性が示されています)。

 自殺してしまう遺伝子などの存在は示されていませんし、遺伝要因はまだ完全に解明されていません。

 ただ、調べていると興味深い情報を見つけましたので、ご紹介します。

 人生早期の環境(過酷な養育環境など)が遺伝子発現に変化をもたらすことも、自殺に至る生物学的背景になりうると考えられている。

脳科学辞典『自殺』

 環境要因が遺伝子要因に影響を与える可能性があるということです。これは勉強になりました。こういう可能性があるとすると、環境要因のウエイトが大きくなります。

 個人的な意見ですが、人間は心が完全に死んだ時に自殺というものに行動を移します。

 遺伝要因による個々の感受性の違いはあると思いますが、人が自殺に至るダメージに大差はないと考えます。

 自殺する人は弱いという意見がありますが、それは危険な考え方です。例えば、心的ダメージを数値化した場合、自殺に至るのは8~10くらいと仮定しましょう。8で死を選ぶ人もいれば、9で選ぶ人もいる。10では全員が自殺してしまうとします。強い弱いがあるとするなら、感性の差であり、微々たるものなのです。

 でも、10でも自殺しない人がいます。それはB群パーソナリティ障害(該当記事参照)をはじめとする、攻撃的な精神疾患の方々です。良心(悪い事したなと感じる心)を持っていないためです。

 こういう傾向の方々は12とか15でも飄々ひょうひょうとした感じでいたりします。

 ほとんどの人間は10が限界なのです。大差はなく、弱くも強くもないのです。ただ、15でも何も感じない人から見れば、10の人たちは「弱い」ということになりますが、逆に言えば15で何とも思わないのは強いのではなく「異常」だということです。

 いじめによる自殺は、罪悪感や良心の呵責を感じない人達が、普通の人を10まで追い込んでしまったケースと言えます。

 「弱いから自殺するんだよ」などと本気で思っているのであれば、精神的な異常を疑ってしまいます。あくまで個人の考えですので、悪しからずご了承ください。

10代の自殺者を減らすには

 子どもの頃の環境、特に家庭環境は選べません。家庭環境が悪ければ悪いほど、子どもの心へのダメージや傷は大きくなります。

 成長していつか家庭を離れることがあっても、受けたダメージや傷を受け止めたり、修正していくのには長い年月がかかります。もしそれまでに精神疾患になっていたとしたら、幼少期の辛い体験は一生ついて回ります

 身体的な傷は気づくことができますが、精神的な傷は見えません。ですので、子どもに関わる親以外の大人が気づく必要があります。

 ちょっとした言動の違和感を見逃さないレベルの感性(感覚的専門性)は持っていて欲しいです。特に教育・福祉領域の方々については。

 家庭環境が良く、学校などの外部でダメージするケースもありますので、その場合は保護者側に上記のような感覚を持っていていただきたいです。

 自殺を意識できる年齢が10歳頃(個人差で前後あり)と言われています。言葉でのやりとりができる年代だと思いますので、早い段階で気づいて適切な支援へつなげることも大切です。

 話を聞いてもらったり、理解してもらったりすることで救われる子もいますので、大人は良き理解者でありたいです。傷つける大人もいれば守ってくれる大人もいます。守られる体験は、その子の将来に良い影響を与えることは言うまでもありません。

 またそういう辛い気持ちを相談すること、誰かを頼ることは良い事であるという風土作りも大切です。とりわけ男子は、辛くても我慢する傾向(ジェンダーの影響)にあるので、性別関係なく話や相談をすること、自分自身の健康を守ろうとする行動の意義と素晴らしさを伝えたいものです。

 私はそういう取り組みを色々な現場で続けています。世の中の理解、というより日本は心の健康に対する意識が若干遅れているように感じます。

10代のあなたへ

 つらかったりにたかったりする気持きもちをかんじたことがありますか。もしそういう気持ちになったときは、くるしくなるまえ相談そうだんをしてくださいね。

 おやや友だち、学校の先生、公的な相談機関そうだんきかん医療機関いりょうきかんなど早めに相談しましょう。自分のいのちまもるための行動こうどうだから、自信じしんを持って早めに行動しましょう。かならずいる自分の味方みかたを見つけよう。

 それでも相談できる人がいないなら、「チャイルドライン」に電話でんわしてください。

【電話番号】0120-99-7777(通話料無料)

【受付時間】毎日16~21時 ※12月29日~1月3日は休み

【約束ごと】名前を言わなくていい、切りたい時に切っていい

【対応電話】携帯電話(スマホ)・公衆電話
(公衆電話は最初にお金を入れ、通話が終わると戻る)

【注意事項】音声通話契約してないスマホ、IP電話、ネット電話(LINE・Skypeなど)からはかけられない

 ※くわしくは、チャイルドラインのホームページ(https://childline.or.jp/)を見てくださいね

 秘密ひみつは守ってくれるから、こまった時はまよわずに電話してみてね。

 自分のこと、自分のいのちを大切にしてくださいね。

※日本の自殺者数についてはこちらの記事をご覧ください。

>>日本の自殺者数とその心理<<

教育問題
スポンサーリンク
ボクの人生、預かり所。

コメント